作画班の努力は90点、マネジメント能力は0点(アニメ25話、総評)

総集編を挟んで迎えたアニメ最終話は舞踏会でニュージェネレーションが「流れ星キセキ」、CPのメンバー全員が新曲「M@GIC」を披露し、波乱が起こることなく無事に終えました。最後は新たな春を迎えてメンバーのその後のシーンや何故か専務に昇格した美城常務の姿などが移り、中断期間を挟んで9か月に及ぶアニメが終わりました。


(1)前半は何でもありのステージ、後半はライブステージ

プロデューサーが数か月構想を練っていた舞踏会はただのライブではなく、前半に346プロのアイドルをほぼ総動員させたステージイベントを持ってきました。ファンとの距離の近さという点では良いと思うし、24話のライブがファンそっちのけにしていたような印象もあったので、ファンやスタッフも笑顔というメッセージが込められていたと思います。

後半のライブステージは時間の都合上、ニュージェネレーションやCPメンバー14人の新曲のみ中心でしたが、当初より2週間遅らせてかつ作画班を総動員してやったこともあり、最後の「M@GIC」は終盤を除いて良い出来だったと思います。ただ、その前のニュージェネレーションのライブシーンは大半が過去の振り返りに終わったから、作画班が総力尽くしてやった結果とはいえ、肝心のライブシーンをカットしてしまうのはマイナスです。正直、1stの13話の方が良かったです。

前回の24話は卯月がソロで歌ったものの、ストーリー的にもターニングポイントだったニュージェネレーション3人の復活のライブシーンが全カットであるから、もはや最初から制作スケジュールに無理があったとしか思えません。実質3か月半延ばしたにもかかわらず最終話のライブシーンすら追いつけない有様だから、アニメーターの手書きの力量が追い付かなければ制作スケジュールを長くするアニメーターの人数を増やすしかないと思います。(手書きにこだわるなら)

先にストーリーの全体を作ってから作画班が1枚作っていくような流れであると思われますが、作画は1枚1枚手書きなのでどうしても力量に限界が来ると思うし、制作側が100点満点に仕上がったと判断しないまま放送に踏み切るような業界の考えにも大いに疑問です。3話のように作画が崩れたまま放送したのは一つの業界としても致命的であるとしか思えないし、こういうことが平気でまかり通ってしまうのが、今までアニメを見てこなかった私からすれば衝撃的でした。

(2) これからも彼女たちのストーリーは続いていく

今回の舞踏会は大きな波乱が起こることなく終わったので、この辺も1年通じて成長した姿であったと思います。その後のシーンとして、ただ、プロデューサーと対立していたはずの美城常務が何事も無かったかのように専務に昇格して仕事をこなしていたから、プロデューサーの言葉に心を動かされたのかわかりませんが、ちょっと違和感を感じてしまいました。

また、その後のシーンとしてCPの各メンバーがソロとして仕事をこなす内容があったから、トップアイドルに向けての土台固めが終わり、ようやく新たなスタート台に立ちました。一方、CP2期生の募集に関する内容が触れられていましたが、舞踏会を成功させて良い形で次にバトンを繋げられたと思うし、ストーリーとしては良い形で終わったと思います。

(評価)
☆☆☆☆☆☆☆☆ 80/100
☆は10点

締めくくりのストーリーとしては良かった。ただ、先ほど書いた通り、肝心のライブシーンをカットしたのはマイナス。カットした内容に当てたのが回想録だったのも、これからがある彼女たちには合わない印象。中途半端にカットしたことで、個人的には今回より13話の方が良かった。

(総評)

(1st) ☆☆☆☆☆☆☆☆ 93/100
(2nd)☆☆☆☆☆☆☆ 70/100
(総合)☆☆
☆☆☆☆☆☆ 80/100
☆は10点、★は5点

1stシーズンはアイドルの成長物語、2ndシーズンは苦労して壁を乗り越える物語という感じだったが、1stシーズンは今振り返っても全体的に良かった。右肩上がりの一本調子だけではなく、6,7話のようにシリアスな話を正面からぶつけてきたのも良し。13話のライブシーンは湧き上るような躍動感があった。文句を言うとしたら、3話の作画、6話でラブライカがそっちのけにされた2点ぐらいだが、この2点を上回るプラス要素があったので90点以上。

一方、2ndシーズンは全体的にシリアスな話になることは予想していたので、脚本を描く難しさを承知した上で見た。しかし、特に最初の14話が単純にグダグダしすぎて、最後の10秒以外中身が無かったのと同じレベル。25話の中でダントツでワースト、見る目を厳しくしたきっかけにもなった。美城常務が予想以上の無能ぶり、卯月の復活シーンがピークのような描き方をしたことで25話が淡々と終わるなど、ストーリーのバランスも微妙だった。


全体通じて、1stシーズンが終わった頃では「2ndシーズンで逆転優勝狙える」ような立場だったのが、中断明け後の初戦でボロ負けしてから失速して中位クラスに終わってしまった印象。ポテンシャルとしては高いものを持っていただけに、非常に残念な結末となった。

25話を見て一番強く思ったのは、上にも書いたように最初から制作スケジュールに無理があったとしか思えない。制作期間があと半年あれば24話や25話のライブシーンが描かれてかつ、脚本も見直しされて2ndシーズンがマシな内容になったと思う。今思えば3話の作画が崩れたまま放送させたのは、マネジメント能力が欠如している証拠。欠陥品を顧客に売りつけるのは企業としてあってはならないことだが、どうせ温いアニメ業界だからまともなチェックをしなかった可能性も十分に考えられる。

今回のアニメを見終えて、今の体制のままで3期や劇場版を作ることには反対である。ファンからゲームの課金、グッズ収入などで金を儲けた割に、今回のアニメの出来はあまり納得できない。アニメDVDは3巻まで買ったが、今後少なくとも6巻以降を買うことはないだろう。素晴らしいアニメから普通のアニメに成り下がってしまったことがショック。


最後はこの機会と言わんばかりに言いたいことを書いたが、2ndシーズンのみだけど読んでくれてありがとう。


※アニメ業界、今のままならどうなっても知らないよ。